「後世への最大遺物」とは何か(その3)

  『後世への最大遺物・デンマルク国の話』内村鑑三(岩波文庫)

 上記の本の読書報告の三回目であります。とても面白い本であります。
 前回まで報告したのはこういう事でした。

 筆者の若かりし頃の青年内村君が考えた、「後世へ我々の残すもの」はこの順番で4つであります。

 (1)お金
 (2)土木的事業
 (3)思想(哲学・文学)
 (4)教育


 これはなかなか面白いランキングですよね。
 一番目のお金は、もちろんその富を社会に有効に用いるのですね。
 二つ目の土木的事業というのは、例えば大阪にある「道頓堀」みたいなものですね。ある人が頑張って土木的事業をしたことが後世の人々にどれほど有益となったか、というパターンであります。

 三つ目の思想もよく分かります。社会が劇的に変化したその背景に、優れた思想家がいたことは歴史上後を絶ちません。
 四つ目の教育というのもそのセットみたいなもので、自らが優れた思想をうち立てられないのなら、過去のそれを広く人々に知らしめる仕事としての教育であります。

 こうしてみると一つ一つについて、とても説得力がありますね。
 で、内村青年はどれを選ぶかというと(実は、1番目から考えていって、これはダメだからその次、と進めていったのですが)、自分はみんなダメだと思っちゃうんですねー。
 謙遜青年内村君であります。

 そうして内村君はとても失望してしまいます。
 自分は後世に何も残すことはできないのだと、悲嘆の念を発するのであります。

 しかしここから、内村君はなんと、コペルニクス的転回のような考えを編み出すんですねー。
 それは何かといいますと、……、あ、すみません、次回に続きます。


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残り日の少なき数え地蔵盆

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 小学校の頃、中学校の頃、そして高校の頃、

 この時期は、毎年ずっと、こうだったですねぇ。

 宿題が、山のように残っていて……。

                              秀水


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「後世への最大遺物」とは何か(その2)

  『後世への最大遺物・デンマルク国の話』内村鑑三(岩波文庫)

 前回の続きであります。
 内村鑑三の講演の文章であります。とっても面白いです。

 筆者内村鑑三がまだ無名であった若き日、ある日青年内村はこんな風に考えます。
 自分も一人の男子としてこの世に生まれた以上、何とかしてその名を後世に残したいものだ、と。
 そして、既にキリスト教徒であった内村青年は、親しくしていた牧師さんに相談に行きます。

 ところがこのことを打ち明けると、牧師さんからあっさり否定されてしまうんですねー。
 「クリスチャンは功名をなすべからず」とか何とかいわれて。

 うーん、と唸りつつ、内村青年は、しかし負けずに考えます。
 これは私の言い方が悪かったのだ、名を残したいと言ったのが良くなかった、私のしたいことは名を残すことではなく、少しでも世の中を良くしたいことだった、そしてその結果として名前が歴史に残ることを考えたのだった、と。

 なるほど、これならどこからも文句は出ませんよね。
 そこで内村青年は、自らの志についてさらに考えていきます。
 具体的にどうすればいいのか。
 後世へ我々の残すものの中にまず第一番に大切なものは何か、と考えます。

 ……えーと、すみません。この調子で書いていきますと、とても簡単には終わりそうもないので、以下、かなりまとめつつ端折りつつ、「マキ」で進んでいきますね。

 内村青年が考えた「後世への最大遺物」はこの順番で4つでした。

 (1)お金
 (2)土木的事業
 (3)思想(哲学・文学)
 (4)教育


 ……うーん、これはなかなか面白いランキングですよね。
 というところで、すみません、また次回に続きます。


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「後世への最大遺物」とは何か(その1)

  『後世への最大遺物・デンマルク国の話』内村鑑三(岩波文庫)

 読書について、かつて私は興味のままに、片端から何でも読んでいましたが、ある時ふと何故かこんな風に考えました。

 いい年をして、いつまでも「乱読」ではないな。

 以降、もっぱら一番好きだった、近代日本文学を中心に読んできました。
 だからこの手の本は、最近あまり読んだことがないのですが、知り合いの女性にとってもいい本だと勧められて、読んでみました。

 なるほど、とってもいい本であります。
 まず、筆者内村鑑三についてですが、氏に対する私の知識はほとんど皆無であります。
何となく知っていたのは、氏がキリスト教徒であることと、確か、何かの「不敬罪」と関係していたんじゃなかったか(本書を読んでいて少しずつ思い出してきたのですが、日露戦争時に反戦論を展開した方だったなとか)、という程度で誠にお恥ずかしい。

 ただ、近代日本文学をまとめて読んでいて私は経験したのですが、それなりに歴史に名前の残っている人の作品というものは、好き嫌いは別として、やはりかなり優れたものであるということであります。だから、内村氏のこの本についても、一種「安心」し「期待」しながら読んでいましたが、それに違わぬいい話でした。

 これは講演を文章にしたものであります。
 二つの講演ですが、話としては、二つ目の「デンマルク国」(いわずと知れた「デンマーク国」のことですね)の方が具体的で面白いです。戦争に敗れ、国力が落ちてしまったデンマルク国が、いかにして国家を立て直すに至ったかを書いた話ですが、今読んでもとっても納得してしまいます。(少しだけ内容を書きますと、国を富ませるために最も大切なものは植林だという話です。)

 でも今回は、一つ目の講演について、簡単に紹介してみますね。
 これもとても面白い話です。

 ある時、まだ青年だった筆者は、こうして世の中に、日本に生まれた以上、何とかして我が名を歴史に残したいものだと考えます。そして、親しい牧師さんに相談に行くのですが……。

 というところで、えー、すみません、次回に続きます。


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願いして 気は軽くなる 墓参かな

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 別に何もしていないのに、
 お墓参りの後って、なんだか、すっとするのは、

 これは、加齢ゆえで、ありましょうか……。

                             秀水


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境内に見立て校舎の踊り唄

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 確かに、踊れる境内、って、
 我が家近辺では、
 ちょっと見あたらない気がしますが……。

                          秀水


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いつもクラス委員に選ばれる少年のように

  『第九』中川右介(幻冬舎新書)

 サブタイトルに「ベートーヴェン最大の交響曲の神話」と書いてあります。
 それを加えてタイトルを読みますと、一応内容は分かるようになっていますね。
 ベートーヴェンが第九を作り出すに至る部分と、音楽は再現芸術ですから、それがその後の各時代に、どのようにして再現されていったかが書かれてあります。

 その結果何が分かったかといいますと、この作品に付いている様々な色合いは、結局のところなぜ付いたか分からないし、よく分析してみると、その「色合い」も、決して時代万人に共通理解のあるものではない、ということだそうです。

 そして、再三よく似たフレーズで書かれているのですが、第九の演奏は、この曲が我々に訴えてくる「人類への永遠のメッセージ」じみたものの対極の、混沌と混乱と困惑にまみれた場面でしばしば演奏された、とあります。(名演か否かは別です。例えば1951年のバイロイトで、フルトヴェングラーが振った第九のように。)

 ……うーん、これは優れた作品の持つ運命なのかも知れませんけれどねー。
 つまり、ひとつの演奏会、一続きの音楽祭、ある年度の音楽シーズンのなかで、「トリ」に演奏されるべき名曲だから、あるいは、歴史的シーンで必要にされてしまう名曲だから、我こそはボスであると考える複数の演奏者=指揮者が、どろどろとした権力争いの後に演奏をする、というわけですね。

 そんな風に考えると、ちょっとうんざりしてしまいますね。
 でも結局のところ、そんな旗振り役に選ばれてしまう曲って、ありそうです。クラスの中で、いつも委員長に選ばれてしまう性格みたいなものですかね。

 あれもねー、小学校からずーっとそうだったりすると、いい加減イヤになってくるでしょうねー。当人に取っては、必ずしも誇らしい評価とばかりもいっていられません。むしろ、「性格の悲喜劇」といった方がいいのかも知れません。
 (「性格の悲喜劇」というフレーズは、太宰治の『お伽草子』にありました。太宰って、こんな表現がとっても上手であります。)

 ところで本書に書いてあったのですが、第九を作曲したことで(演奏会の利益や出版料などで)、取りあえずベートーヴェンはいくらほどの収入を得たか?
 どれくらいだと思います?

 「4560フロリンに、フランス金貨40枚」

 ただ「フロリン」という貨幣単位を現在の「円」に換算して考えるのに、二説あるそうで、1フロリン→約2000円、あるいは約5000円だそうです。

 これって、二説でかなり違うんですけどー。
 大雑把に、一千万円か、三千万円ってところですか。
 ベートーヴェンが一年近くかけて作った作品ですけれども、さてこの額、どんなものなんでしょうねぇ……。


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