正面から「正義」を語るという感動

『罪なくして罰せず』中坊公平(朝日文庫)

 およそ浮き世のことに無知な僕でも、中坊公平氏の御高名はうかがっておりますという感じの、「正義」の弁護士の方のエッセイです。

 最初に書いておきますが、この本を読みながら僕は何度か、目頭が熱くなりました。
 といっても、齢を重ねた結果として、僕の涙腺が緩くなっていることについては自覚しており、(例えばちっちゃな子供が不幸になったりする話だと、もう、だめですね。)そのことがこの本の高評価に結びつくかどうかは、よく分からないところであります。

 ただ、僕が何度か泣きそうになった、いわゆる「正義感」とか、「無私の精神」とかいう、なかなか現実には発現することのない状況は、やはりなんと言っても、時空を越えて普遍的な人間として大切な価値だなと、改めて思いました。

 それともう一つ、改めて私が取り上げるまでもないこの著者の有名な人柄、「反骨」「反権力」について、例えば、こんな風に書いてあります。

 (ある知り合いから聞いた話として)「弁護士というのは日本で生まれた職業ではありません。欧州で生まれたものです。しかも欧州では、弁護士と医者と牧師は『プロフェッション』と称してひとくくりにされ、ビジネスオンリーであってはならないと戒められている。なぜかというと、これらの職業は人の不幸をカネもうけの種にしているからです」

 そして著者は、悪に対抗する一番の武器であり、すべてのエネルギーの源となるものを、

  「自分の仕事にプライドを持つこと」

だと説きます。これは、うならされましたね。
 なかなか、世の中にはすごい人も、まだまだたくさんいらっしゃるようです。
 さて振り返って我が仕事、うーん、全くもって、うーーーーん、うーーーーん、で、ありますなぁ。


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テーマ : 読書記録 - ジャンル : 小説・文学

コメント

Re: No title

 お夕さん、コメント有り難うございます。
 仕事を通しての自己実現ということはとても大切なことだとは思いますが、現実としてはなかなか難しいものですよね。
 ましてやその職業が、多くの人のためになっている場合というのは。

 だからこそ、そういった自己実現をなさっている人の話に、私達は、感動を覚えるのかも知れません。
 世の中にはまだまだ一杯、凄い人がいますよね。

No title

秀水さま、お邪魔します。
私も「うーーーーん、うーーーーん」の一人であります。

「正義」を口にすることが「ダサイ」と思われがちですが、「我を美しく」が「義」なので、結局自分の生き様が根底にあると思います。
「世のため、人のため」じゃなくて、自分の倫理観、美意識が試されるために、仕事ってあるのかなあ、とも思えてきました。
私の場合、仕事にプライドというより、自分のプライドを磨くために仕事をしているのかもしれません。
紹介いただいた本、読んでみたいと思います。

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