『ぼっけえ、きょうてえ』岩井志麻子(角川ホラー文庫)は、暗くコワイ。

 僕は「ホラー」というジャンルの小説を、ほとんど読んだことがありません。
 なんで読んでないかと言えば、まぁ、僕が恐がりだからですね。
 小泉八雲の『怪談』でさえ、コワイ。夜、一人でいられなくなるので、読まないことにしています。
 (そういえば僕は遊園地の絶叫マシンといわれるのもコワイ。これも乗らない。)

 さて、今回の文庫には4つの短編が入っています。その中の表題作が「日本ホラー大賞」を受賞しましたが、この作は同時に「山本周五郎賞」も受賞しています。
 でもそれ以外の小説も、とてもよくできています。

 舞台は、岡山県。時代は、明治の中頃。
 4つの話それぞれが、明治という時代に、山間の集落で、障害を持っているということの意味、病気に(それも伝染病に)罹っているということの意味、貧困であるということの意味、そして、幼くして両親が亡くなるということの意味など、ちょっとやりきれない、しかもその時代のほとんどの日本人にとっては、何時自分に降りかかってくるか分からないようなそんな設定が取られていました。
 そしてストーリーが描くのは、そのような人々が、暴力的に体験させられる、否定される人間性です。

 ここまで書いただけでなんか、暗ーーい小説が想像できるでしょ。
 その通り、真っ暗な、怖い小説です。

 おそらくは、今だってそんなに大きく変わってはいない(障害を持つ人への差別、精神疾患者への差別など、社会が変わったと思えるのはほんの表面だけの)状況でしょうが、こうして改めて取り上げられると、やはり明治という時代は、現在と比べてとても恐ろしい時代だと思いました。

 ただ、十分にビターでダークなテイストながら、作品としては、手練れの小説という感想を持ちました。

 ところで、『ぼっけえ、きょうてえ』って岡山弁なんですが、岡山という地も、なかなか才人が現れるところですね。確か、司馬遼太郎もかつてそんなことを書いていました。


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テーマ : 読書記録 - ジャンル : 小説・文学

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