もしもこの業績なくんば……

  『病いの人間史』立川昭二(文春文庫)

 この作者はお医者さんですね。「病跡学」とまではいきませんが、明治・大正・昭和の主に文人を中心に、各人の死に至った病から、あれこれと人と人生についてアプローチした本です。

 どんな人が対象になっているかというと、樋口一葉・中江兆民・正岡子規・乃木希典・夏目漱石・松井須磨子・野口英世・竹久夢二・宮沢賢治・斎藤茂吉、というのがフル・ラインナップです。
 なかなかおもしろそうでしょ。

 しかし、優れた仕事を世の中に残した人というのは、やはりどこか凡人と異なる点がありますね。それも、少し穿った見方をすれば、もしもこの業績なくんば、変人・狂人に同じ、といった。
 まーしかたないでしょうね。
 普通の人と同じに普通のことをしていたんでは、優れた業績なんて残せっこありませんものね。

 でも昔の人は、本当に病気が多かったですね。医学の発達がいまだしだったからでしょうが、しかし今だって、難病なんて星の数ほどありますものね。
 いや、健康には気をつけつつ、いざというときの心構えも充分備えておかねばなりませんよね。

 最後にこの本に対する確かにトータルな感想ですが、もちろんそれなりに面白い本なんですね。
 でも何というか、やはり「文体」というんでしょうかね、別に悪い点を付けるほどではないんですが、要するに、「文章の味」ですかね。プロの文士でないぶん、どうしても「味」とか「芸」とかいう部分がやはりやや欠ける気がしました。

 そして、こういうのが欠けると、例えば食事をした後お腹は満腹なんだけれど、
 「あー、おいしかった。」
 の一言が出ない、という感じになります。
 これもまた、えらいもんですがねー。
 (ちょっと辛口過ぎますか。そうだったら御免なさい。)


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テーマ : 読書記録 - ジャンル : 小説・文学

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