太宰治と志賀直哉のことを少し。

 さて、いきなりの話題ですが、晩年の太宰治は、志賀直哉のことをとっても嫌っていたようですね。

 当時(第二次世界大戦終了後、二、三年間ですね。)志賀直哉といえば、後の文学史的評価から見れば明らかに最盛期は過ぎていましたが、そうは言っても、そのキャリアの素晴らしさゆえまだまだ現役の「文壇の権威」でありました。

 だから、新進の「無頼派作家」の太宰治としては、志賀を叩くと言うことは社会の古い価値観を叩くということであり、それは己の文学の進展にとっても当然なされねばならない行動だったのかも知れません。

 ともあれ、そんなこんなで、太宰治は志賀直哉をとっても嫌っていたようですが、一方志賀の方でも、太宰という存在について、まー、少しは鬱陶しく思っていたようなきらいがあります。
 座談会で、太宰治の作品に触れ、否定的な発言をした、と。
 その時、志賀の前置きの言葉がこんなニュアンスの表現で。

 「この作家は現在とても人気のある人だから、言いにくいんだけれども……。」

 この言い回しに、また太宰治が噛みつくんですね。
 そんな言い方がけしからん、と。お前も仮にも文壇の重鎮であり、文学そのものを愛する者であるならば、むしろこういうべきではないか。

 「この作家は現在とても人気のある人だから、あえて一言、言わせて貰うと……。」

       ###############

 ……えー、ここまでであります。
 このエピソードは、少し太宰の方に部があるという気はしますが、今回は取り上げませんでしたが、太宰の、志賀への絡み方についても、ひどく大人げないところがあります。
 作家坂口安吾は、こんな一連の太宰の文章について「二日酔い」と書きました。
 うーん、これもなかなか、的を射ていますよねー。


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テーマ : 読書記録 - ジャンル : 小説・文学

コメント

Re: No title

 南亭さん、重ねてのコメントありがとうございます。
 太宰と谷崎が好きだと言うことは、たぶん近代日本文学の「おいしいところ」の七割くらいを味わっているといいうことだと思います。
 ただ、南亭さんの「酒の肴話」からも分かりますように、オールラウンドに美味しいもの以外にも、私だけが美味しいもの、思わず美味しいもの、ある条件下でのみ美味しいもの、美味しいとは言い難くてもつい手を伸ばしてしまうものなど、この世界も奥深いものがあるんですよねー。
 やはりなかなか読書はやめられませんよねー。

No title

困りました。そんなに美味しいものをぶら下げられると(爆笑)。
谷崎の全集だけは大切に持っています。もちろん殆んど読みました。
私のような面倒臭がりやにとっては、希有なことでした。太宰も同じです。
漱石は半分ぐらいですか・・・貧しい読書歴ではなんとも言えませんが、
私としては秀水さんに大いに賛同します(頼りないですね・・・汗)。

Re: No title

 南亭さん、コメントありがとうございます。
 南亭さんも太宰が好きなんですね。太宰の魅力っていったい何だと思いますか。
 僕はいくつかの近代以降の小説を読んできて、結局死ぬまで面白い小説を書き続けた作家は、三人居ると考えています。(今のところですが。)
 太宰と谷崎と漱石です。
 谷崎と漱石は、南亭さん、いかがですか。

No title

私が食らいつきたい餌は、ブルックナーのほかには太宰がいちばんです(笑)。
それから私も勝手に訪問させてもらっていますので、どうぞお気づかいなく・・・。

のんびりゆきましょう。

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