『子供より古書が大事と思いたい』鹿島茂

  『子供より古書が大事と思いたい』鹿島茂(文春文庫)

 もうかなり前になりますか、新聞の読書欄を見ていたらこの人の写真が載っていました。

 写真を見るまでは、フランス文学の専門という事もあって、そして以前に読んだエッセイはなかなか「高踏的」な感じもしていたものだから、なんか渋沢龍彦っぽいイメージを持っていたんですが、写真を見て、渋沢龍彦というよりは、比較的「高踏的」に近い人で言うと、荒俣宏のようなオッサンで、少しがっかりしました。

 だからこののエッセイの感想も、プチ渋沢をイメージしていたものがプチ荒俣に変わったのですから、それは「劇的な落差」といってもいいのですが、一体何が書いてあるかと言えば、「コレクションの欲望=物欲」について書かれてありました。

 この人にとってはフランスの古書がその対象なんですが、借金まみれになってまで集めている「古書」について、もはやそれは「読む」対象などではさらさらないという「居直り」が書かれてあります。

 なるほど、コレクションの対象は、「実用性」などの価値観とはもとより無縁であります。
 読んでいて、私はヒジョーに心穏やかになりましたね。
 つまり、私の「物欲」の対象であるCDは、「聴く」必要などさらさらないと説いてくれているんですね。
 聴いていないことに精神的な負い目を感じる必要など、全くないと、カウンセリングまでしてくれているわけです。

 CDを購入して、しかるべきコレクション棚に置きさえすれば、後はそれを眺めてただにやにやとしておればよく、もしも望むならば棚から取り出して手にとってためつすがめつじっくりと観察すればよく、さらにさらに興が乗れば、気紛れにCDプレーヤーにセットして音楽を聴くことすら可能であるという、全き自由に彩られたすばらしい境地ですね。
 コレクションに対する「完全なる自由」ですね。
 私はとても心強い味方を得た気がしました。

 えー、そんな本でありました。
 「実用性」とは全く無縁の本であります。こういうほとんど「無意味」な本って、本当に私たちの精神生活を豊か(?)にしてくれますよね。
 実に良かった。




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テーマ : 読書記録 - ジャンル : 小説・文学

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