「恋愛小説」ナンバーワンとは

  『夜は短し、歩けよ乙女』森見登美彦(角川書店)

 少し長く夏休みを取りましたら、結構ヒマになりまして、久し振りに近所の図書館に行ってきました。
 クーラーの利いた館内で、ぶらぶらといろんな本を見ていたのですが(落ち着いて「本を読んで」はいません)、以前知り合いの女性から薦められた覚えのある本がありまして、それで借りて帰ったのが冒頭の本であります。

 「オビ」には、

  ・面白い!なんて面白いんだ!(松田哲夫・編集者)
  ・大傑作。文句なしに今年の恋愛小説ナンバーワン(大森望・文芸評論家)
  ・大変愛らしゅうございますの。(豊崎由美・書評家)


と書いてあるのですが、まず編集者がオビのコピーを書くってのが、私にはよくわかりません。この編集者は、なんか有名な方なんでしょうか。
 後のお二人は、少し前に流行った(そして最近また、そのシリーズ本を出版なさった)『文学賞メッタ斬り』の人ですね。

 で、読んで、どう思ったかというと、まーそれなりに感じるところなきにしもあらずなんですが、例えば稲垣足穂の文体模写のような書きぶりは、なかなか才人だなと思ったりもいたしました。
 しかし、これをもって「今年の恋愛小説ナンバーワン」と言い切るコピー(もっともコピーはもとより宣伝ですが)には少し首を傾げましたが、どんなものなんでしょうね。

 で、今度は、この作品よりの立場に立って考え直してみますと、そもそも私が「恋愛小説」の秀作として頭に浮かべるのは、例えば谷崎潤一郎の『春琴抄』であり、例えば漱石の一連の「三角関係」小説であり、比較的近いところでも、水村美苗の『本格小説』であったりと、そんな小説などであるわけですね。
 で、そんな歴史上の名作や傑作と比べて判断するのは、そんな比較をするヤツの方が悪いとの指摘を受ければ、なるほどその通りでございますと思わざるを得ません。

 と、そんなわけで、私にはこの作品を批評する資格があまり無いことが分かりました。

 いえ、そう考えてみますと、上記にも触れた足穂の『一千一秒物語』を彷彿とさせるパスティーシュと作品舞台は、我が青春の「京都」をやはり懐かしく思い出させてくれるものであるなと、わたくしは、改めて思い直したのでありました。


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テーマ : 読書記録 - ジャンル : 小説・文学

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