ひさしぶりに俳句について書いてある本を読んでみた

  『子規のココア・漱石のカステラ』坪内稔典(NHKライブラリー)

 ぼそぼそと俳句めいたものを作りつつ、十年くらいになります。
 一方で、本を読むことも好きです。
 じゃあ、俳句に関する本を読むかと言えば、あまり読みません。読めば役に立つ、あるいは楽しいだろうとは思いながらも、何となく、あまり読みません。
 まぁ、そのうち読むだろう。後の楽しみ、と考えています。

 と、振ったところで、上記の本を読みました。坪内稔典氏といえば、上記の理由で現代俳人についてほとんど知らない私でも、こんな氏の俳句を知っています。

   三月の甘納豆のうふふふふ
   桜散るあなたも河馬になりなさい
   睡蓮へちょっと寄りましょキスしましょ


 実に何とも説明し難い俳句ではありますが、しかし、爽やかな風がふっと吹き過ぎるのを感じますね。
 この「爽風」こそが、この俳句の価値なんですねー。これはなかなか誰にでもできる芸ではありません。

 と言う俳人の楽しいエッセイ(ほとんどが俳句に絡んだエッセイ)を読みました。
 とっても楽しく読んだのですが、少し気になるところなんかもあったりして、例えば、こんな部分です。
 正岡子規の有名な句「いくたびも雪の深さを尋ねけり」に関して、このように書いてあります。

 もっとも、子規は、はっきりと病人の俳句としてさきの句を作った。彼の句集では「病中雪」(病中の雪)と前書きがついている。だが、そんな作者の意図を離れて、スキーを気にする俳句だとか、雪国に心づかいをする俳句だとか、ともかくいろいろに読めるところにこの俳句の魅力があるのではないだろうか。もちろん、私の俳句だってどんなふうに読まれてもいい。

 どうですか? なるほど、芸術鑑賞の自由さという意味では、大いに納得できそうな論ではあります。
 ただ、少しだけ私が疑問に思うのは、自由に解釈していい部分というのは確かに芸術鑑賞にはありますが、作者の書いたことを無いことにして解釈するというのはどうなんでしょうかね。「この俳句の魅力」とは、そんなところにあるのでしょうか。

 ……まー、それくらい、ええやン、とも思いますし、……でもそこまではなぁ、とも思います。
 いかがでしょうか。


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