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知性のフットワーク、スリリングなゴシップ話

  『ゴシップ的日本語論』丸谷才一(文春文庫)

 「ゴシップ」です。
 「日本語論」です。
 そして丸谷才一とくれば、もう、読むしかないではありませんか。

 私にとってそんなフェイヴァレットな丸谷才一ですが、やはりこの本も堪能しました。
 たくさん出版されている丸谷氏の文庫本エッセイ集については、一時期、少し内容が難しすぎはしないかいと思うような時期があったように思いますが(もちろんそれは物知らずな私にとっての難しすぎるですが)、本書はまたうって変わって、とても面白かったです。

 例えば「折口学的日本文学史の成立」という講演録(國學院大学で行われた「三矢重松博士八十周年祭・折口信夫博士五十周年祭」での講演)が収録されています。(本書のお話しはすべて講演録か対談です。本書が肩肘張らずに読めるのもそのせいがあると思います。)

 冒頭に「折口信夫にはずいぶん熱中しました。」とあって、以下、折口に対するその熱中ぶりが語られるのかと思いきや、話はいきなり『新古今和歌集』にいきます。
 その理由は、「新古今」研究では折口の論がとても立派だからと書かれ、しかしその折口「新古今」論文中最も有名な論文は、実は極めて難解であるため、結局折口全集を全部読まなくちゃならないことになってしまったと、あっけらかんと続きます。

 そして折口をどんどん読んでいくと、それは自然、柳田国男を読むようになり、この二人を精読していくとケンブリッジ学派に到達した、と。
 以下ほぼ残り全部、イギリスのケンブリッジ大学に集まった古典学者達の学問の話を説くという展開の講演になっています。

 ……うーん、何といいますか、もちろんこれは博覧強記、恐るべき博識さの話ということなんでしょうが、むしろ感じるのは筆者のフットワークの良さであります。

 実際それは、肉体をしなやかに使っている躍動感とでもいうべき感覚で、知性のフットワーク、運動神経を感じさせ、まるでスポーツ観戦やバレエ鑑賞のような体験に読者を誘ってくれます。

 本当はここで、本書にある幾つかのドキドキとスリリングな「日本語」や「文学」の「ゴシップ話」を紹介すればいいのでしょうが、それは実際に本書を手に取った方のお楽しみとしておきます。
 いえ、繰り返しますが、本当に堪能しました。


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