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ある女性指揮者のこと

 既に少し以前の話なんですが、クラシックの音楽会に行きました。
 クラシックの音楽会に行くについては、実はわたくし、ちゃんと演奏曲を「予習」(あらかじめ家でCDを聴いておくという安易な「予習」)をして臨む場合と、当日演奏される曲名すら知らないで行くという、まー、ちょっとどうかと思うような姿勢の場合がありまして、その時は、後者でした。

 曲名を確認しないで行くくらいですから、誰が指揮者なのかも調べていません。
 会場について簡単なパンフレットを見て初めて知ったのですが、おや、今回は女性の指揮者ではないですか。

 そもそも私は、さほど頻繁にクラシック音楽会に行くわけでもなく、また、最新音楽事情にはほぼ完璧に疎くあります。

 ……えー、ここで少しだけエクスキューズさせていただきますが、上記のわたくしの状況は、はばかりながら一般的なクラシック音楽ファン(コアなファンは除きます)の感覚ではないでしょうか。(違うのかな)

 例えばわが家にあるクラシック音楽CDの多分半分以上は、既に亡くなった方の指揮であったり演奏であったりします。だって、音楽誌の薦めるいわゆる「名盤」みたいのを集めていけば、そうならざるを得ないではありませんか。(違うのかな)

 というわけで、私はわが国にいったい何人の女性指揮者がいるのか見当もつかないのですが、音楽会で女性指揮者の演奏に当たったのは2人目でありました。
 いきおい前回の方と比較をしてしまうのですが、今回の女性指揮者は、とっても元気がよかったですねー。

 腕だけではなく躰全体を使って、ややオーバーアクション気味とも見えそうですが、小さい体に(日本女性としては多分平均的身長かと思いますが)元気いっぱいのしなやかな指揮ぶりで、なにより、演奏者一人一人に直接向ける満面の笑みがよかった。私はとても好感を持ちました。

 演奏のポイントポイントのタイミングで、演奏者をさっと見て、にっこりしながらまなざしで指示・許容・激励・応援・期待・称賛などをなさっていました。(たぶん)
 それは客席から見ていて、こちらも元気が貰えるような指揮ぶりだったと思います。

 ところがそんなに指揮者が見ているのに、演奏者はほとんど彼女を見返さないんですね。
 もちろん、いちいち指揮者を見ていたら譜面が読めないじゃないかということもありましょうし、微笑まれたのだから微笑み返せよとまで言うつもりはありませんが、でもあんなに愛の告白の如くにじっと見ていても、彼女は演奏者からあまり見返されない。

 ……うーん、それって、いったいどんな気持ちなんでしょうね。
 指揮者になったことがないのでよく分からないのですが、そもそも両者は、そんなに見て見られるという関係ではないのかも知れませんね。

 以前私は、演奏者から指揮者への視線について、一曲中ずっと観察をしたことがありました。そしてその結果、一曲中(もちろん曲の長さは関係しますが)演奏者は指揮者を本当に数回しか「チラ見」しないという「恐るべき」結論を得るに至りました。(ほとんど指揮者無視。)

 だから、彼女もプロの指揮者なんだから、見返してもらえなくってもいいのかなとも思います。でもあれだけのアクションと満面の笑みを駆使して思いを乗せた視線を送っているのだから、もう少し演奏者の側も、愛想があってしかるべきじゃないですか、ねぇ。
 一瞬の微笑み返しで、そんなに演奏に支障が出るわけでもありますまいに。(いや、支障が出るのかな。)

 ……そして、演奏が終わりました。
 何度か行われたカーテンコールに、私は、あなたのお気持ち、私だけはよーく分かっていますよ、つらいでしょう、わかります、わかりますという万感の思いを籠めて、掌が痛くなるばかりに女性指揮者に拍手を送ったのでありました。

 あの女性指揮者は、よかった。……うん。
 ……えっ? 曲のでき?
 ……えっと、はらはらしながら見ていたので、よく分かりませんでした。


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