とっても素晴らしい赤瀬川原平氏の「絵画評論」・その2

 前々回の続きであります。赤瀬川原平氏の「絵画評論」を紹介していました。
 この本です。

   『赤瀬川原平の名画探検・フェルメールの眼』赤瀬川原平(講談社)

 今回取り上げる絵画は『牛乳を注ぐ女』、これですね。↓

牛乳を注ぐ女


 赤瀬川原平氏は、『牛乳を注ぐ女』についてこんな風に書いています。

 「壺から流れ出る牛乳は地球重力を適確にあらわしている。それは垂直に垂れる牛乳の描写だけで可能だったのではなく、その重さを支える腕の筋肉、腕を保持する人体の緻密なバランス、それらをコントロールしながら牛乳を見守る女の眼差し、そういうすべての微細な力のネットワークがあってこそのものなのだ。
 (中略)
壁の一端に留められた籠が、その編み目をやんわりと斜めにずらしながら下に傾く。そのわずかな重力を見つめるフェルメールの眼差しに、自分の心の底まで見透かされていくようだ。」


 この説明文は絶品ですね。読んでいて、思わずシビレてしまいます。
 上記文後半の、絵を説明する言葉の選び方の的確さと、その絵が鑑賞者の心情に与えた影響を解説する際の、地上から一瞬浮かび上がるような見事な詩情が、特に素晴らしい。

 こんな文章が、赤瀬川原平=小説家・尾辻克彦氏の真骨頂なんですねー。
 もはや改めて詳しくは触れませんが、生活の中の(人生の中の)細やかな出来事に対する愛情のこもった且つ的確な眼差しこそが、画家であり、小説家でもある作者の魅力の源泉であることを、こんな文を読むと、改めて感じさせられるのでありました。

 フェルメールの絵にいかにも相応しい、細やかで暖かい文の力であります。
 よかった。

 では次は、見巧者・赤瀬川原平が浮世絵を読み解く本を、紹介します。また。

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テーマ : 絵画 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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