とっても素晴らしい赤瀬川原平氏の「絵画評論」・その3

 上記テーマの第3回目の報告、今回が最後です。
 赤瀬川原平氏の「絵画評論」を紹介していました。今回は、この本です。

  『名画読本・日本画編』赤瀬川原平(知恵の森文庫)

 フェルメールの絵画鑑賞をした文の紹介でも触れましたが、赤瀬川氏の絵画の解説文を読んでいると、なぜこんなに心地よいのかなと思います。
 今回は読んでいて、思わず言葉にしてしまったのですが、
 「この人は鑑賞のプロだなー」と。

 どうなんでしょうか。私の貧しい知識故かとは思いますが、実作者でかつ、このように素人相手に、とても丁寧に「名画鑑賞」の解説を書いてくれる人は、極めて少ないんじゃなかろうか、と。
 それはやはりこの人が、一方で芥川賞なんか取っている文人だからでしょうか。

 鑑賞の「ツボ」としか言いようのないような個所を、まさにピンポイントで指摘されると、思わず早口の関西弁で、

 「ほんまやぼくもそれがいいたかってんぼくといっしょや」

的感動が、一瞬のうちに快感と共にわあああっと脳内に広がっていく、そんな着眼と表現の素晴らしさであります。(なんかよーわからん言い方ですみませんがー。)

 その快感の原因は、なんといってもこの「名文」のせいでしょうねー。素晴らしい文章力だと思います。
 もう少し具体的にそんな部分を指摘してみます。


葛飾北斎


 葛飾北斎は、まー、これしかないと思われる作品『富嶽三十六景神奈川沖波裏』であります。
 ジスイズウキヨエ、有名中の有名浮世絵ですね。
 この絵について、赤瀬川氏はこんな文章を付けています。

 「とくに右の船が怖い。船体の後ろのほうが高々と波の上に上がって、そこまではまだ砕けた波が行っていないので、そこのところはしんとしている。その静寂が恐ろしい。それが左側のざっぱり立ち上がった大波の次の瞬間を、よけいに大変なものに仕立て上げている。」

 「めちゃめちゃうまいやんけー」と、やはり私は関西弁で叫んでしまうのでありました。
 これは勿論、富士山の左側に描かれた大波の凄さ(並びにその大波の真下の船の恐怖)について語っているわけですが、右側の船と海面のふくれ具合に着目してそれを説明した「鑑賞のツボ」が、まさに絶妙ですね。

 こんな鑑賞が、取り上げた全作品にわたって付けてあります。いかさま赤瀬川原平氏は「鑑賞のプロフェッショナル」ですね。読んでいてとても心地よかったです。

 というわけで、赤瀬川氏は恐るべき「見巧者=表現者」でした。
 すごい人って、実際にいるものですね。

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テーマ : 絵画 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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名画読本 日本画編

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